コラム 斎藤友紀雄 先生 「CCC創立者・吉田 稔先生との出会い」

  コラム 斎藤友紀雄 先生

当センター副理事長であり本科の講師を務め、日本いのちの電話連盟の創立メンバーでもある斎藤友紀雄先生によるコラムをご紹介していきます。

 

「CCC創立者・吉田 稔先生との出会い」

私は日本キリスト教団阿佐ヶ谷教会が出身教会である。

1952(昭和27)年、15歳の時に、初めて教会に導かれて出席したのが、ほかでもない阿佐ヶ谷教会であった。高校卒業の時点で大村勇牧師に勧められ、神学校に進んだ。神学校卒業後当時阿佐ヶ谷教会で3年間副牧師を務めたあと派遣されたのが、同教会が開拓した石神井教会であった。しかもここで出会ったのが、ほかでもない吉田稔先生であった。吉田先生は当時、中堅の建設会社で勤務し、教会ではすでに役員の一人として積極的な発言をするなど、なかなかの論客でもあった。役員の中には医師、大学教授、会社役員など優れた人たちがおり、いつも活発な議論が交わされていた。ところがそのうち吉田先生自身が伝道者を志し、日本聖書神学校に入学したのである。卒業後は始め盲人伝道委員会幹事となったが、そこからさらに、キリスト教カウンセリングセンター、つまりCCCの設立を志したのである。

1984年に発起人総会が開催され、吉田稔氏を事務局長に選任、研修所を新宿のシロアム教会に設置、毎週水曜日に開催されるようになったが、「水曜は研修日」という伝統は現在も継続されている。

もっとも吉田氏がCCCの創設時代から強調してきたのは、「牧会カウンセラー」の養成と各教会への派遣ということであった。しかし教会では、歴史的には「牧会相談」という名称で、教職者に託された役割であった。初代理事長であった故今橋朗氏は、「牧会カウンセラー」の名称やその養成を認めつつ、やはり牧会者としての教職者の役割を重んじていた。したがってCCCの卒業生が「牧会カウンセラー」と名乗ることに関しては、慎重であるべきだと述べていた。

この辺はCCC内部でも必ずしも一致していない。個々の教会でも、教職者や信徒たちの認識は、ずいぶんと落差があるように思う。今後こうした議論が真剣に交わされることを期待したい。

 

<斎藤友紀雄 先生 プロフィール>

  • キリスト教カウンセリングセンター副理事長・前研修所所長
  • 東京神学大学・(米)ランカスター神学大学に学ぶ
  • 日本キリスト教団阿佐ヶ谷教会・石神井教会・その他の教会に仕えその後、同教団隠退教師
  • 現在、日本いのちの電話連盟理事、日本自殺予防学会名誉理事長、青少年健康センター会長、
  • 民間相談機関連絡協議会元会長、日本死生学会理事
  • 1997年、自殺予防活動への社会的貢献により国際リンゲル賞受賞。2006年朝日社会福祉賞。2012年藍綬褒章。